2007年6月


離婚に伴って財産分与する居住用家屋


先日、離婚を考えているご夫婦から次のようなお話を受けました。

「離婚に伴って、今まで居住していた僕(ご主人)名義の自宅を財産分与として妻に渡そうと考えているのだが。」

さて、このような場合どのような課税関係が考えられるでしょうか。

まずひとつ、財産分与として自宅を妻に渡すという行為が贈与税の課税対象となるのか、ということです。これについては2004年9月号に掲載のとおり贈与税は課税されません。

もうひとつ見落としがちなのが、この財産分与は居住用不動産の売却があったものとみなしてご主人に譲渡所得が課税されるということです。居住用不動産の売却については、一定の要件のもと、3,000万円の特別控除が認められています。しかし、それが配偶者に行ったものであれば、この特別控除の適用は受けられません。ではどうしたらいいのでしょうか。勘がよい方はお気づきのはずですね。正式に離婚をして戸籍を外し、法律上夫婦ではなくなった後に分与すればいいのです。そうすることにより、他人に譲渡があったものとして、3,000万円の特別控除の適用が受けられます。分与のタイミングは重要です。注意しましょう。

ちなみに、現実に離婚という事実がないのにもかかわらずこの適用を受けるためだけの見せかけの離婚があっても、特別控除の適用はありませんのでご注意ください。